「需要の消滅が半端ではないのです」のインパクト | 郵便・切手から 時代を読み解く

郵便・切手から 時代を読み解く

切手コレクター必見! 経済評論家にして郵便・切手評論家でもある池田健三郎が、辛口トークと共に「ゆうびん」や「切手」を通じて時代を読み解きます。
単なる「切手あつめ」や「郵便物コレクション」とは次元の違う、奥深き大人のライフワークの醍醐味をお伝えします。

全日本郵趣連合については、まだまだ言いたいことはあるのですが、ひとまず会長に対して私信を送付しその回答待ち、というステータスになっており、その結果を待ちたいと思います(いつまでも待っているわけにはいきませんが)。万一、35,000円もの年会費負担を負う会員を黙殺するようなことがあれば、毅然たる対応をとるまでのことです。

 

さて、標題の「需要の消滅が半端ではないのです」のフレーズは、先日届いた「郵趣」2024年1月号のジャパンスタンプ商会の広告中の店主の現状認識を端的に表すフレーズで、「誰もが納得できる対応策が無い」との言と共になかなかのインパクトがありました。

 

つまり今までは普通にオークションで売れていたものが売れなくなってきており、その対応策がないことを示しているのですが、それを踏まえると、郵趣振興を図るうえでは「それでも需要の回復を図るにはどうすればよいか」を考えることになります。

 

早いもので令和も5年目が終わろうとしているのですが、令和時代の初めに以下のようなコラムを書いたことを思い出しました。

 

 

この内容はいまもって妥当すると考えており、その意味で、この5年間、郵趣振興は余り成果をあげられてはいないということになるのかもしれません。

 

わたくしの「対応策」としての仮説は、「60‐65歳で仕事をリタイアし退職金・年金など一定の趣味原資を持つ方々が、新人として郵趣にエントリーし、競争展などを中心に徐々にステップアップする過程を実感しながら15-20年程度楽しめる趣味のサイクルをつくる」というものです。

 

現代の60‐65歳の方々は以前よりも心身が若く、新しい趣味にチャレンジして世界を目指すには十分な環境にある方が少なくありません。

 

そのためには、切手収集が国際的・社交的ホビーであり、多額の金銭を投じなくとも普通に頑張れば国内展はもとより国際展に参加し、旅行や社交を織り交ぜて楽しみながら郵趣を継続できるような環境を整えることが有効と感じています。

 

ジュニア向けの「切手教室」を正面から否定するつもりはないものの、趣味が多様化したこのDX時代、いくらやっても、捗々しい成果は期待できないでしょう。

 

その代わり、内外競争展出品作品とはどのようなものか、誰でも情報にアクセスできるようにし、具体的なイメージと取り組み戦略が描けるようなサポートを図ることで、競争展に向けたチャレンジを始める方を増やしたほうが良いのではと考えています。

 

実はかつて連合にも、非公式に「日本人審査員を増やすことよりも、競争展出品者を増やす施策こそが重要で、世界に繋がる競争展のプロセスに責任を負っている連合が積極的に取り組むべき」と意見を述べたことがあるのです。

 

そのような事業に予算を充当するのであれば、FIP/FIAPへの上納金以外に幾許かの会費負担をすることは吝かでないのです(但し、会員による意思決定への参画など、当たり前の民主的組織運営が前提となるのは言うまでもありませんが)。