全日本郵趣連合 会費考(その2) | 郵便・切手から 時代を読み解く

郵便・切手から 時代を読み解く

切手コレクター必見! 経済評論家にして郵便・切手評論家でもある池田健三郎が、辛口トークと共に「ゆうびん」や「切手」を通じて時代を読み解きます。
単なる「切手あつめ」や「郵便物コレクション」とは次元の違う、奥深き大人のライフワークの醍醐味をお伝えします。

そもそも全日本郵趣連合の会費はいくらが妥当なのか、という議論は重要だと思います。

 

いうまでもなく、連合の「会費」は、事実上の「郵趣税」として、国際展出品者の少なからぬ負担となっています。

 

無論「いやならば払わなければよい」といわれるのですが、それでは国際切手展出品資格を喪失しますので、郵趣を通じた幸福追求権を封じられてしまいます。よって、国際展出品を伴うフィラテリー自体をやめない限りは事実上、未払いが許されない制度(事実上の強制徴収)となっています。

 

そうであれば、会員各位の総意の下で、一人でも多くの会員の理解を得たうえで会費額を決定すべきだと思うのですが、現状まったくそうはなっていません。

 

現行の会費水準は、全会員に対する意向調査(アンケート)等もないまま、不透明な形で役員に「選任」された理事たちが勝手に「決議」して、上意下達の形で請求されているものです(因みに会費の決定にどの理事が賛成/反対したかすら開示されていない)。

 

では現行の会費水準は果たして合理的かつ妥当なものでしょうか?

 

直近の2022年度(1-12月)の「第7期 一般社団法人全日本郵趣連合 正味財産増減計算書」(国際切⼿展ニュースレター『The Japanese Philatelists』11号別添に掲載)をみてみましょう。

 

収入・支出総額の規模は2,022千円となっており、このうち国際切手展出品資格を維持するために必要なFIP(国際郵趣連盟)及びFIAP(アジア郵趣連盟)への納付金は合わせて591千円で、全体の29.2%に過ぎません。

 

もっともこの費用水準はコロナ禍に伴う1割引措置後のものなので、正常時では1割引きはなくなり657千円程度になると試算できますが、それでも支出総額の32.5%に過ぎません。

 

残る約7割の支出は、

・次年度繰越金329千円(構成比16.3%)

・調査研究費(決算書に説明がなく何の使途か不明)319千円(構成比15.8%)

・全日本切手展協賛金300千円(構成比14.8%)

・国際切手展参加費用(コミッショナー費用弁償と特別賞とみられる)222千円(構成比11.0%)

などとなっています。

 

他方で収入をみると、総収入2,022千円のうち実に83.6%が会費収入であり、会員からの会費収入なしには何も成り立たない法人であることがわかります。

 

以上を踏まえると、少なくとも以下の事が言えるのではないかと個人的には思っています。

会費収入が全体の8割超を占め、他に何らの事業収益もないにもかかわらず、非民主的な会費決定がなされている

・連合最大の役割である「国際展出品資格維持費用」の支出としては会費の約3割しか使われていない

全日展協賛金の負担が重い(これがなければ15%も支出が抑制可能、別団体であり無理に高額協賛する必要があるか)

調査研究費の使途が不明で、調査研究を行った結果が会員に何も報告されていない

・全般に会費負担の重さに対して収支報告がアバウトすぎる(質問を受け付ける旨の記載すらなし)

旧「国際展出品者の会」活動目的継承を主軸とするならば、その点に支出を集中することで、会費は半額以下に抑制可能ではないか

 

さて、皆さんはどう思われますか?

 

私が仮に議決権を保有していれば、少なくとも上記の点は総会で質問しないわけにはいきません(それゆえに議決権付与を否決したのかもしれませんが、だとすれば何をかいわんやです)が、皆さんはこれからも黙って「郵趣税」を支払い続けますか?