2023年 大晦日 | 郵便・切手から 時代を読み解く

郵便・切手から 時代を読み解く

切手コレクター必見! 経済評論家にして郵便・切手評論家でもある池田健三郎が、辛口トークと共に「ゆうびん」や「切手」を通じて時代を読み解きます。
単なる「切手あつめ」や「郵便物コレクション」とは次元の違う、奥深き大人のライフワークの醍醐味をお伝えします。

早いもので2023(令和5)年もいよいよ大晦日でございます。本年各所でお世話になった皆様に御礼を申し上げます。

 

わたくし個人の郵便史・切手研究関係では、「日本の速達郵便史」、「英領喜望峰の郵便史」等の実証研究を続け、台北(8月)及びバンコク(11-12月)におけるエキシビションにおいても、好成績を収めることができました。

 

また、少しずつですが、マテリアルの補給も行うことができました。


夏の台湾(台北)での展覧会では、要請を受け久しぶりにコミッショナーとして日本人出展者の作品(コレクション)運搬役を担い、現地ではアジアの仲間たちとの国際文化交流をはかることができました。

 

今後は、全日本郵趣連合の運営が民主化され、私にも議決権が付与されない限り、心理的・経済的負担が軽くないコミッショナーの要請など受け入れるつもりはありません(とはいえ他人の貴重なコレクションを預かる、という責任感に欠ける方が担当されるのも困りものですが…)が、とまれ本年でコロナ禍で延び延びになっていた台北展が無事に終わり、数年がかりのミッションをようやく完遂できて肩の荷が下りたのは幸いなことでした。

 

また11月末からのバンコク世界展では、惜しくも大金賞には届きませんでしたが、過去最高のスコアを得ることができました。

 

さて画像は、ごく最近入手した、「昭和22(1947)年の2.1ゼネスト絡みの速達書状」で、名古屋市内から三河の平坂町あてに送られたものです。

 

2.1ゼネストについてはネット上にも詳しい解説がいくらでもあるため、ここでは詳述しませんが、2月1日の実施を睨んで、直前の郵便物には画像のような付箋がつけられました。

 

この付箋は、局により仕様は区々であるものの、記載されている要旨はいずれも「ストになれば郵便電信電話為替貯金保険年金等(郵便局が扱う業務)はすべて停止する」旨、同一です。

 

この付箋付きカバー/葉書それ自体は、特別珍しいという程ではなく、時間をかけて探せば入手可能なものですが、速達便となると話は別で、難易度はぐっと上がります。データが判読可能な速達使用例は、これまでに本例を含め3通程度を確認しているにすぎません。

 

これまでも探していたのですが、残念ながら入手機会がなかったところ、ようやく念願が叶い、良い年の瀬となりました。

 

結びにあたり、皆様が良い新年をお迎えになられんことをお祈りいたします。来年も本ブログをよろしくお願いいたします。

 

データ:名古屋景雲橋21.1.27→安城 21.1.29

料金:書状30銭+速達料1円=計1円30銭